ITコラム

Wi-Fi 5・6・7は何が違う? iPadを例に、買い替えで本当に変わることだけ説明します

2026.10.07

「Wi-Fi 7対応のルーターに替えれば速くなりますか?」と、よく聞かれます。

答えは「端末しだい」です。Wi-Fiは、アクセスポイント(電波を出す機器)と端末の両方が同じ世代に対応して、初めて新しい機能が使えます。片方だけ新しくしても、古いほうの世代で動きます。

この記事では、Wi-Fi 5・6・6E・7の違いを、学校や事務所でよく使われるiPadを例に、「買い替えで本当に変わること」だけに絞って説明します。

4つの世代を、一言ずつで

世代登場使う電波一言でいうと
Wi-Fi 52013年5GHz速さの世代
Wi-Fi 62019年2.4GHz・5GHz混雑に強い世代
Wi-Fi 6E2022年(国内)+6GHz道路を増やした世代
Wi-Fi 72024年2.4・5・6GHz束ねて速く、途切れにくい世代

カタログには「最大9.6Gbps」「最大46Gbps」といった数字が並びますが、これは理論値です。実際の速度は、端末のアンテナの数、同時に使う台数、そして元の回線の速さで決まります。数字の差がそのまま体感の差になることは、まずありません。

もう一つ、見落とされがちな点があります。インターネットの速さは、元の回線で頭打ちになります。光回線でも実測は数百Mbps程度なので、Wi-Fiが何Gbps出ても、ネットの速さはそこまでしか上がりません。Wi-Fiの速さがそのまま効いてくるのは、同じ建物の中の通信です。NASや社内のサーバーとの大きなファイルのやり取り、写真や動画のバックアップ。こうした「外に出ない通信」で、世代の差が数字に表れます。

Wi-Fi 6の価値は「速さ」ではなく「多台数でも遅くなりにくい」こと

学校や事務所で一番効くのは、ここです。

Wi-Fi 5は、アクセスポイントから端末へ送る方向だけ、複数の端末を同時に相手にできました。Wi-Fi 6では、端末からアクセスポイントへ送る方向も同時にできるようになり、さらに電波を細かく分けて多くの端末に割り当てる仕組み(OFDMA)が入りました。

教室で40台のiPadが一斉に動画を開く、事務所で全員がオンライン会議に入る。こういう場面で「順番待ち」が減るのが、Wi-Fi 6の実力です。1台だけで速度を測っても差は出ませんが、台数が増えるほど差が開きます。

ちなみに「Wi-Fi 6から送受信が同時にできるようになった」という説明を見かけますが、これは誤りです。Wi-Fiは、Wi-Fi 7まで含めて、同じ電波の中では送信と受信を同時にはできません。

Wi-Fi 6Eは「道路を増やした」、Wi-Fi 7は「道路を束ねた」

Wi-Fi 6Eは、6GHzという新しい電波が使えるようになった世代です。いわば道路が増えたので、アクセスポイントが密集する建物では、電波の取り合い(チャネル不足)がほどけます。ただし、端末側も6E対応でないと、この新しい道路は使われません。

Wi-Fi 7は、複数の電波を束ねて使う機能(MLO)が目玉です。片方の電波で送りながら、別の電波で受ける、という動きができるので、途切れにくくなります。こちらも、端末がWi-Fi 7対応であることが条件です。

iPadは、どの世代?

Appleの技術仕様で確認した、現行モデルの対応です。

機種Wi-Fi
iPad(第9世代・2021年)Wi-Fi 5
iPad(第10世代・2022年)/iPad(A16・2025年)Wi-Fi 6
iPad Air(M3)/iPad mini(A17 Pro)Wi-Fi 6E
iPad Pro(M5・2025年)Wi-Fi 7

学校で配られることの多い無印のiPad(第10世代・A16)は、Wi-Fi 6です。つまり、Wi-Fi 6のアクセスポイントで、端末の性能を使い切れます。6EやWi-Fi 7のアクセスポイントを入れても、このiPadから見た体感は変わりません。

もう一つ。最上位のiPad Pro(M5)でも、アンテナは2本(2×2)です。アクセスポイント側がどれだけ高性能でも、端末の受け口が2本なら、そこが上限になります。

では、何を選べばいいか

  • 今の端末がWi-Fi 5か6なら、Wi-Fi 6のアクセスポイントで十分です。台数が多い場所ほど、Wi-Fi 5からの買い替え効果は大きくなります。
  • Wi-Fi 6E・7は「端末が替わった時」の備えです。数年先に端末を更新する予定があり、その時にアクセスポイントを触りたくないなら、先に入れておく価値はあります。
  • 「遅い」の原因が世代とは限りません。電波が届いていない、アクセスポイントの置き場所が悪い、元の回線が細い。こちらのほうが多いです。買い替える前に、一度測ることをおすすめします。

電波の調査は、建物を歩いて測り、届いていない場所を色で見える化します。「どのアクセスポイントに何台ぶら下がっているか」も、管理画面で分かります。買い替えの前に、原因をはっきりさせたい方は、Wi-Fi・無線LAN構築のページをご覧ください。

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